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2009/01/29
今、若者の間で家紋がブームなのをご存知だろうか。 家紋に関する本もよく売れると聞くし、家紋入りのストラップなどグッズの売れ行きも好調だという。こういったムーブメントのきっかけとして、よく耳にするのが「戦国武将に憧れる若い女性の増加」というニュースなのだが、実際はそれだけではないようだ。 「家紋だけでなく『和』というものが見直されていると感じますね」 こう語るのは、今回ご紹介する『家紋ブログ』の作者である沖さん。 家紋との出会いをこのように語る沖さんは、「へなのや」という屋号の会社にて、家紋デザイナーとして活躍する傍ら、このブログにおいて家紋にまつわる情報を発信している。ただ、旧来の家紋に関する情報だけでなく、オリジナルの家紋を発表しているところが、とても興味深い。 私が制作する家紋には「家紋」と「家紋風」の2通りあります。「家紋風」というのは主に商品の為のデザインです。例えばTシャツやバッグへのプリントなど、特定の意味を込めないデザイン重視のものです。「家紋」はデザイン性はもちろんですが、家紋を持つことになる方にとって意味の有るものになります。 これはブログ内で記された家紋の説明だ。このように自作するといっても、2つのパターンがあるわけだが、いろいろ説明をするよりも実物を見たほうが早いだろう。 そこで、まずこちらを見ていただきたい。「丸に剣にネロリに水」というこの家紋は、沖さんが自身のために初めて創ったものだとういう。 詳細はリンクにある解説をぜひご覧いただきたいが、大意を要約すれば、この紋は「花と剣と水」から構成されており「何事もうまくいく・すべてうまくおさまる・すべてを支配する」という意味が込められているという。 また、こちらは「月下美人」という作品。これは、その名の通り、「生まれて初めて月下美人を見た夜に描いた紋」だとか。こうやって見ていくと、沖さんの創る家紋というものが、多くの人がイメージする古風なものとは、ちょっと違うことがわかるだろう。伝統の上に新しさが加わっている。そんな新鮮な印象なのだ。 また、依頼を受けて意匠するときには、違った感慨があるという。 このように家にとって代々受け継がれるものゆえ、創る側の重圧もかなりあるようだ。しかしそれゆえ、喜んでもらえた時の満足度もかなりあるのだろう。 「家紋の受注は、実際に会っての打ち合わせを絶対条件にしているのでそんなに数は増やせません。ただ個展を定期的に開催して、家紋制作のセミナーなども開いていきたいと考えています。それによって新たな家紋デザイナーを育成して、家紋というものが化石化した文化ではなく、昔のように一般に親しまれ、生きている文化になればと思っています」 今年の3月に初めての家紋制作セミナーを行なう予定だという沖さん。これからの活躍によって家紋という日本のよき文化をいっそう広めていただきたいと思う。 (岡部敬史)
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