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大人のブログ探訪

雲の情景 -Cloudscape Fukuoka-

2008/11/06

雲の情景 -Cloudscape Fukuoka-

 「女心(男心)と秋の空」ということわざもあるように、人の心も秋の空もコロコロと移り変わり易いものだ。東京でも徐々に街路樹が紅葉し始めた10月下旬。気持ちの良い秋の陽気に誘われて、近所の公園まで散歩に出かけた。空を見ると、上空には線状の雲が広がっている。秋の空によく見られる「巻雲」(絹雲とも書く)の一種である。

 「すじ雲」とか「はね雲」、「しらす雲」といった呼び方もある。5000メートル以上の高層域に発生する雲で、天候が下り坂のときによく見られる。ベンチに座って上空を眺めながら、「天候が崩れそうだな」と考えた。

 思い起こせば3カ月ほど前、全国各地に被害をもたらしたゲリラ豪雨により「積乱雲」に注目が集まった。真っ黒な積乱雲が発達していく様子を目にした方も多いに違いない。季節は進み、主役は夏の雲から秋の雲へと入れ替わったが、雲への関心が薄らいでいないだろうか。

 雲は天候を知るバロメーターだ。秋の雲にも関心を持ち、眺めてみてもらいたい。秋の雲と言えば、先に紹介した巻雲をはじめ、「うろこ雲」や「いわし雲」と呼ばれる「巻積雲」など、高層雲が多い。この理由は空気にある。秋は春や夏場より空気か澄んでいる。このため、地上からでも上空の多角に発生する雲がよく見えるのだ。

 秋の雲を求めてブログを探していると、写真家、甲斐 順一氏が運営する「雲の情景 -Cloudscape Fukuoka-」に出会った。甲斐氏が在住する福岡市で撮影された街と雲の織りなす情景を、毎日1枚ずつ公開するブログである。同氏が雲の撮影を始めたのは15年前の1993年。以来、雲の写真を撮り続け、個展も毎年開いている。ブログでは、1998年から現在に至るまでの作品が公開されている、実にたくさん雲の情景を鑑賞できる。どの写真も、雲が見せる一瞬の表情を巧みに切り取っていて見応がある。

 雲にだけ注目しても、実に興味深いブログだろう。記事をさかのぼって見ていくと、秋の雲から、夏の雲、そして春へと、雲の形で季節を感じることができる。女心と秋の空。確かに天候はコロコロ変わるかもしれないが、空に浮かぶ雲だけは季節を巡り巡り、何度となく私たちの目の前に現れてくれるに違いない。

(原 如宏)



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