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2008/09/25
夏の暑さが一段落すると、元気の増す生き物がいる。夕闇とともに鳴き始める秋の虫たちだ。日本には「虫聞き」という文化が受け継がれてきた。その歴史は古く、源氏物語の中で宮中に住む貴族たちが虫の音色に耳を傾けるシーンが描かれているほどだ。優雅な宮廷文化として誕生した虫聞きは、江戸時代以降、庶民の間に広がっていった。お花見やお月見など、日本の四季を楽しむイベントの1つに加えられたのである。 江戸名所図鑑によると、虫聞きの名所として、広尾や上野にある不忍池などが挙げられている。こうした虫聞きスポットに家族で出かけ、お花見のように酒宴をしながら、虫の音に耳を傾けたそうである。 そして現在。緑の少ない都会では、お花見は楽しんでも、虫聞きを楽しむ習慣はなくなりつつある。非常に残念なことだ。近所で鳴いている虫の音を聞いても、それがどんな虫なのか、姿形をイメージすることもできない。四季を感じながら生活する。そんな当たり前の生活を、虫聞きという習慣を通じて見直してみていきたいものだ。 もちろん、虫の音に耳を傾ける時間がないという方もいるだろう。1つ、おすすめのブログを紹介したい。写真家の高嶋清明氏が運営されているブログ「高嶋清明の音集めのページ」である。このブログは、文章や写真が中心のブログとは違う。記事の中心は、撮影時などに集めた「音」。録音した音を配信するためのブログ(ポッドキャスティング)となっている。 現在配信されているのは、虫聞きでは定番のスズムシ、コオロギ、アオマツムシなどの虫の音。過去ログを開くとアマガエル、メジロなど、四季を感じさせる音が多数配信されている。近所に虫聞きスポットがない方や、仕事の合間や自宅の書斎で秋の虫が奏でる音色に耳を傾けてみたい人には、まさにピッタリのブログだ。 虫の音は日本人にとっての癒やしの音と言われる。ポッドキャスティングという現代風の虫聞きを楽しんだら、次は実際に、近所の公園や虫聞きスポットへと足を伸ばしてみてほしい。 (原 如宏)
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