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2008/09/18
「よく『男らしい』って言葉を耳にしますよね。でも、その言葉が意味するところは今ひとつ理解しにくい。そこで『男らしいなぁ』と感じる名言を集めていけば、その実像がぼんやりわかるのでは――と思って始めたのがこの記録です」 こう語るのは、今回ご紹介するブログ『漢の名言集』の作者である山田独眼鉄さん。 「女性は元気だけど、男性は弱くなる一方……」。なんていう昨今の男弱視の世相から、ふと「男らしいとは?」と考えはじめた彼は、自身で『漢検定DS』なるサイトを立ち上げ、各種コラムによって「男とは何か」を考えてきたという。 このようにあまり他に類を見ない独自の研究を続ける彼は、いったいどのような言葉を収集しているのだろうか――。さっそくそんな山田さんが集めている名言のいくつかを見ていくことにしよう。まずは、2007年4月3日のエントリー。ドラマ『必殺仕置人』からの言葉である。 いきるな。いきるな。男三十過ぎていい格好しようなんざ、落ち目になった証拠よ これは『必殺シリーズ』の顔役・中村主水が吐いたセリフで「三十路を過ぎたオトコなら、誰でも心に留めておきたい一言」だという。 続いてもうひとつは、2007年10月11日のエントリー。ここでは浅田次郎著『天切り松 闇がたり第二巻 残侠』の中の名言を紹介している。 こうと決めたらとことんやれ。星勘定も銭勘定もするな。盗ッ人にせえ大臣にせえ、それが男の心意気ってもんじゃあねえのかい これは弟分からの質問に無学な兄貴分が答えたものだという。なかなか気風がよくて格好いい台詞だ。 「浅田次郎さんの本からは、たくさん『男』を感じるのでよく紹介していますね。浅田さんの綴る言葉は、わかりやすく心にストレートに響くからだと思います」 こういった名言を毎日アップするブログというのは、数はたくさんあるのだが、いかんせん続かないケースが多い。その理由としては、ややもすると作業が単調になる傾向にあるからだろう。 ただ集めて発表するだけ。これだとなかなかモチベーションを保つことは難しい。しかし、この山田さんのブログのように「男とは何かを考えてみる」という目的があれば、更新の意欲は湧きやすい。1年半あまりで400近い名言を収集できたのも、そんな目的意識ゆえだろう。 最も実用的なものが、最もすぐれた文章であります。 こちらは、2008年4月3日のエントリーで谷崎潤一郎が書いた『文章読本』のなかの名言である。 この名言は「文章」の本質を語ったもので「男」を語ったものではない。「でも、通底する意識や考え方が似ているので紹介しています。こういった『男を直接語ったものではないもの』にも考えさせられる言葉は多いですね」と山田さんは語る。 このように感じるところがあれば、小説や映画に限らず、漫画やアニメの名言も紹介していくのが山田さんの流儀。それゆえこのブログには雑多な名言が集まっているのだが、逆にそこが面白い。 虎や狼が日々鍛錬などするかね? こちらは漫画『花の慶次』の中で主人公の前田慶次郎が、自身の強さについて語った言葉。2008年2月18日のエントリーにて紹介されている。 「これは努力や苦悩を表に出したがらない実に男らしいセリフですよね。ただ、こういったわかりやすい男のイメージ像って、ある意味ファンタジーだと思います。実際の男はそんなに強くないし、格好よくもないですから。理想の男性像というものには、そんな空想の要素が多分にあるせいか、『男らしい男を感じる名言』はこういった漫画やアニメに多いですね」 このように「男とは?」といった難問に対する自分なりの答えを見つけようと名言を集めだした山田さん。まだその答えはわからないものの、このようにブログを更新することで、いろんなプラス面があったという。 「なかでもいちばんの利点は、やはり言葉が頭に定着することですね。定着させることで日々それを咀嚼できる。やはりこうやってブログに記録する前と後では言葉の理解度が全然違いますから」 「正直なところそれほど反響が寄せられることはありません(笑)」と語る山田さんだが、ブログに書く理由は、人からのリアクションを求めるばかりではない。こういった言葉を書き留め続けること自体から、大いなるプラスを得ることができるのだ。 (岡部敬史)
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