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大人のブログ探訪

写俳日記(写真俳句)写真と俳句のいい関係

2007/12/20

写俳日記(写真俳句)写真と俳句のいい関係

 今回ご紹介するブログ『写俳日記(写真俳句)写真と俳句のいい関係 』のタイトルにある「写俳」という言葉を見たとき、一瞬、意味が掴めなかった。しかし、記事内にある写真を見て納得するとともに、その面白さに惹かれていった。

「めぐり逢ふこともあらんか十三夜」

 2007年10月17日にアップされた「十三夜」と題された記事には、こんな句が配されている。ちなみに、この十三夜については、こんな解説も付されていた。

日本では、古くから秋の名月を鑑賞する「お月見」の風習があります。お月見というと旧暦八月十五日の十五夜がもっとも有名ですが、日本では古来もうひとつ旧暦九月十三日の十三夜もまた美しい月であると重んじていたそうです。《中略》今年の旧暦九月十三日は、10月23日です。美しい十三夜を見ることができるといいのですが。。。

 なるほど。つまり「十三夜」とは「十五夜」と並び称される月を愛でる日なわけである。 さて、この「写俳」では、前述の句が写真の上に配されているのだが、この写真と俳句の関係性が絶妙だと思った。というのは、例えば、この場合、月を題材にしているからと言って、名月の写真と絡めてしまっては「さもありなん」である。あまりにも説明的すぎて、面白味にかけるだろう。

 しかし、このケースでは、瀟洒な洋館を連想させる額と灯りの写真に、この十三夜の句が絡めてある。「めぐり逢ふ」というフレーズのイメージがどんどん膨らむような楽しさが感じられるのだ。

 「写真と俳句の関係で留意しているのは、まず季節を一致させること。そして、俳句が写真をそのまま説明しないようにすることです。『見れば分かるじゃないの!』とならないように、あくまでも写真と俳句が一体となって新しい世界を創り出すことを目指しています」

 このように語るのは、このブログの作者である桜井さん。やはり写真と俳句のバランスを“つかず離れず”くらいに保つのがポイントであるようだ。それにしても、このような「写俳」といった発想はどこから生まれたのだろうか。ブログを作ったきっかけと併せて訊いてみた。

 「あるカメラクラブに参加して楽しく写真を撮っていたとき、この写真に俳句を入れたら面白いだろうなと思ったのがきっかけです。ただ当時は、自分で俳句を作るの自信がなかったので、俳句歳時記(俳句の季語を集めて分類・整理したもの)から優れた先人の句をいただいて写俳にしていました」

 ちなみにこの写俳という発想の大元には、俳画という、室町時代から創作されている俳句に挿絵を加えたものがあるという。つまり、歴史ある日本の文化と、デジタル写真、それにブログというツールが上手に融合したのがこの「写俳」であるわけだ。

 「また、ちょっとしたこだわりですが、フォントの散らし方やその色、フォントにシャドーを入れるといった加工など、細部にもこだわりをもって作っています」

 このように独自のこだわりを付加して楽しんでいる桜井さん。そんな彼女に思い出に残る作品を二つほど紹介してもらった。

まずは、趣のある写真が印象的な「箏の音」

 「この作品は、神楽坂の小料理屋さんの玄関です。写真と俳句のつかず離れずの関係がうまくいった代表的な作品かなと思っています」

 もうひとつは、野外の元気な風景が印象的な「クロッカス」

 「これは孫娘が1歳3カ月になり、ヨチヨチ歩き出した記念となる作品でした」

 街の情景だけでなく、自身の生活に関することもこのように作品化できるのは、実に楽しい作業であろう。

 「このブログがきっかけで、友人の真鍋郁子さんと『俳句・写俳集 百日紅』(俳句:真鍋郁子 写俳:桜井道子)なる本も出版することができました。これからも、この写俳の世界を見て、ほっとしていただけたらとても嬉しいですね」

 ブログやデジカメというと、どうしても若者のツールと捉えられがちだが、単なに使い方が簡単になった道具である。これを使ってどういうものを表現するのか――。ここがポイントになってくるのだが、この点においては人生経験が豊富な方のほうが巧みであると思っている。お孫さんがおられても、ブログを通しての創作を楽しんでおられる桜井さんに続いて、もっと幅広い年齢層の方がネットで作品を発表するようになれば楽しいなと思うのだ。

(岡部敬史)



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トラックバック送信日 2007/12/20 17:53:11


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