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2006/11/23
今回ご紹介するブログ「KINOKO WEB」の作者である大作晃一さんは,会社員の傍らキノコの写真を撮り続けている自然写真家だ。 いま,こんなきのこが生えてます。 大作さんは,このブログで伝えたいことを,こんな言葉で表現している。そしてこの言葉どおり,旬のきのこや素晴らしい自然の風景が写真で伝えられているのだ。 こういった美麗な写真を見ているだけでも,充分にこのブログは楽しいのだが,きのこの深遠な世界を知るともっと楽しくなる。そんな世界のちょっとしたお話を大作さんは教えてくれた。 「じつはきのこって,名前のついていないものがたくさんあるんです。野山を歩くときに図鑑を持っていったけど,あまり役に立たなかったという経験をしたことのある人もいるでしょうが,それは載っていないきのこがたくさんあるためです。そんな図鑑に載っていないきのこは,日本ではまだ報告されていない日本産新種であったり,世界中どこでも報告されていない新種の可能性もあるんですよ」 ふと野山で見かけたきのこが,なんと大発見!というケースもあるという。そして,このブログのなかには,そんな発見を報告するエントリーもあるから驚きだ。 アワタケってよくわからないよなぁと思いつつ,きのこを引っこ抜きました。 これは「タマノリイグチ」と題されたエントリー。 このように大作さんのように,長年きのこと接してきても,まだ出会ったことのないきのこはたくさんあるという。いつかは出会ってみたいなと思っていると,出会いは突然やってくるようだ。また,こんな事件に遭遇することもあるようだ。 「未知のきのこを食べたら,私を含めた数人の方が中毒をおこした事件もありました。ただ,これは食欲にまかせて食べたのではなく,きのこの記録をとるために味見をして,少量をそのまま飲み込んでしまったためです。というのは,きのこは味と香りを記載することになっているんですよ。エビやカニでさえ味と香りを記載することはないのですが,これはきのこ独特の作法です。ただ,このときのきのこは,新種として最近発表された日本の亜高山帯にはえるものだとわかり,学研の『日本の毒きのこ』にも紹介することができました」 このように,長年にわたりきのこに接してきている大作さんにとって,ブログとは人との出会いを演出してくれるものだという。 「ブログでは,顔の知らない人,実際にお会いした人も含めて様々な交流をしています。初対面の方が,森の中で私を見つけて声をかけてくれてびっくりしたこともありましたね。ご無沙汰していた知人なんかも見ていてくれることを知ったりすると,やはりうれしいものです。ブログをやっていると,きのこの情報も集まりますし,今まで知らなかったことを教えてもらえたりもするんですよ」 最後にこれからの目標などを聞くと,「がんばり過ぎないよう継続することですね」というお言葉が返ってきた。 ブログを始めるときに,最初から膨大かつ秀作なエントリーをアップしようと意気込む人がいるのだが,こういった場合,面倒になってやめてしまうケースが多い。 日記形式のブログだからこそ,日々のエントリーは少しでいいのだ。自分の負担にならない記録や雑感であっても,それが蓄積されればすごい情報になる。 「継続すれば,貴重な情報がどんどん蓄積されていきます。10年続けば,1000種類のきのこの情報が蓄積されることになりますからね」 そう,この大作さんの言葉どおりなのだ。 (岡部敬史)
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