|
2006/10/12
個人発信メディアであるブログというものは,今まで接してきたマスメディアとは違った魅力を有している。そのことをわかりやすく体感するには,自分が興味あるジャンルについて追ってみるのがいい。 前日延長15回を引き分け,37年ぶりの再試合となる決勝戦が行われ早稲田実業が駒大苫小牧を4-3と下し,1915年(大正4年)の第1回大会から出場している古豪として悲願の初優勝を飾った。4連投にも関わらず,斎藤は13奪三振の完投,駒大苫小牧も9回に今大会60号となる中沢の2ランで1点差まで詰め寄る意地を見せたがあと一歩及ばず涙を呑んだ。 これは,野球について魅力的な記事をアップし続けているブログ『プロ野球狂の詩』のエントリーだ。この記事は,夏の甲子園,決勝戦の結果を受けてアップされたものだが,北海道在住のkaneさんが綴るブログゆえ,スタンスは駒大苫小牧寄りのものになっている。しかし,こういった私的感性が混じっていくところにこそ,大手メディアにない魅力があるのだ。 「思い出深い記事を挙げるとすれば,今年の甲子園期間のものですかね。地元である駒大苫小牧高校の記事を書き続けたときに,伝説に残る過去の試合について何度か触れたのですが,普段のプロ野球の時に比べると驚くようなアクセスが連日続きました。改めて高校野球の注目度の高さを実感しましたね」 このブログは,今夏の甲子園の期間ほぼ毎日更新されていたのだが,こういった作者の熱気が伝わってくる感覚も,なんとも心地よいものだ。 「友人がブログをやっていて面白そうだったのと,ブログそのもののシステムや解析に興味があったので,ネタに苦労せず毎日のように更新できる大好きな野球のことをつづろうとスタートしました。ファイターズファンですが他球団のファンとも交流したくてプロ野球という大きなテーマにしたので,今後もより多くの野球ファンと交流したいと思っています」 このようにブログを始めたきっかけを話すkaneさんが,今いちばん気にしていることは,なんといってもファイターズの動向のようだ。 たかが1位通過に過ぎないかもしれないが,この意味は大きい。まるで子供の頃からの夢が叶ったかのようで言葉に詰まる。ドームに集結した満員のファンの異常なボルテージ,歓喜に沸き揺れるスタンド,これが日本シリーズの結果だったらと想像を巡らせると,鳥肌が立ち目頭が熱くなってしまった。 これは,ファイターズがプレーオフ1位通過を決めた時点のエントリー。ここからは,作者の喜びと,次に迎える戦いへのワクワク感に満ち溢れている。 新聞やテレビといった既存メディアにおいては,やはり“事実”の報道に時間が割かれる。しかし,これだけ多チャンネルの時代においては,ファンの間には事実はすぐに知れ渡る。となると,コアなファンほど,個人的感想や考えに触れたくなるものだ。 そんなとき機能するのがブログであるということが,この『プロ野球狂の詩』を見ていただけるとわかると思う。 文字数上の関係で内容は割愛するが,「親子で共有できる喜び」と題された06年9月22日のエントリー。 息子さんが,どんどん野球好きになっていくのをkaneさんが嬉しく思う記事など,作者の姿が本当に間近に感じられて,とてもいいなぁ。 この他,往年の名選手やユニフォームに関する記事など,読者を楽しませる企画が盛りだくさんのこのブログ。これから日本シリーズへと白熱するプロ野球観戦のお供にいかがだろうか。きっと新しい野球の楽しみ方に触れられるはずである。 (岡部敬史)
この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a0120a66c427e970b0128756d923a970c Listed below are links to weblogs that reference |
|
日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。
ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。
この記事へのコメントは終了しました。