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大人のブログ探訪

『killigraph~切りグラフ プロジェクト~』

2009/03/26

『killigraph~切りグラフ プロジェクト~』

 一見すると普通のカフェ紹介なのだが、写真の中になにやら気になるシルエット。よく見てみるとカラフルな色彩の「ひとがた」が、店のテーブルや階段の上に溶け込むように配されている。「これは何だろう?」。そう思って調べてみると、この「ひとがた」は、「切りグラ付箋」というものであるようだ。

 「仕事で絵の描き方や切り紙の本のデザインをしているとき、『立版古』(たてばんこ)というものの存在を知りました。これは、江戸から明治にかけて流行した多色刷りの錦絵を切り抜いて組み立てる『紙のジオラマ』のようなものですが、とても趣のあるものに感じました」

 こう語るのは、この「切りグラ付箋」の作者であるブックデザイナーの瀬川卓司さん。彼は、この「立版古」というものに魅了されて、なんとか現代風にアレンジできないかと試行錯誤する。そして思いついたのがポストイット(付箋)を使うという手法だった。

 「立版古は糊で貼って組み立てる固定されたジオラマのようなものですが、ポストイットを使えば、どこでも貼ることができるし、貼った空間がステージになるというメリットが生まれました。そこで、この面白さや利用価値を追求していく過程で、行った先々で『切りグラ付箋』を貼って写真を撮りブログにアップするという展開を思いつきました。それがこのブログというわけです」

 こうしてこの『killigraph~切りグラフ プロジェクト』というブログが生まれたわけだが、この付箋が生み出す芸術と、店の紹介がリンクする形態が、実に良質なマッチングを生み出している。

 「舞台になっているのは、飲食店が多いですね。行ったお店の記録であるとともに、オススメの店のガイドでもあります」と語る瀬川さん。実際にそのお店を見ていくと、カフェを中心にとても居心地が良さそうなところばかりだ。

 では、実際の記事をひとつ見てみよう。タイトルは「2007.10.18 BRIDGE  in 祐天寺」だ。

仕事に集中できないので、外で仕事をしようと思って祐天寺にある「BRIDGE」というカフェ&バーに行ってみました。夜中2時頃に開いている店はどこも暗くて、狭いところが多いのでさすがに仕事はできないのですが、ここは部分的に明るいので仕事しやすかったです。チャージ料がとられないのもいいです。

 こんな導入から始まる記事では、特徴ある照明のオブジェに「切りグラ付箋」が配された印象的な写真が紹介されている。

 そしてこれは後日談なのだが、この付箋の存在にお店の店員の方が気付き、なんとこのブログまで辿り着いて、この「切りグラ付箋」のことを各所で宣伝してくれるまでになったという。なんとも、面白い話である。

 こんな運命的な出会いを楽しむかのように、瀬川さんは、このエントリーの末尾に「※切りグラフ プロジェクト『切りグラ付箋』」なる一文を添えている。

この「切りグラ付箋」プロジェクトでは付箋で作った彫刻をでかけた場所にこっそりと置いて写真を撮ります。その後、付箋をそのままそこに置いて行きます。お店のひとが見つけてゴミとして捨ててしまうのも運命。その後に来たお客がみつけて持ち帰るのも運命。誰にも気づかれずそこにずっとあるのもまた運命。街でみつけたとか、手に入れたという情報がありましたらBBSかメールでお知らせください。なにもでませんが・・・

  東京という大きな町の片隅におかれる小さな付箋。そこから何か物語が生まれそうな独創的なアイデアだ。

 「今後はこの作品を絡めた書籍の企画を考えていきたいと思っています。その他にも『切る』というテーマでいろんなアイテムを考案していくつもりです」

 これからの目標をこのように語る瀬川さん。最近では「切りグラ付箋」の発表をギャラリーカフェなどで行なっているようだが、そういったお店も募集中だとか。

 「作品が小さいためわざわざギャラリーを借りて展示するほどの規模が必要ありません。それよりも通常営業しているお店での展示ができればと思っています。そんなお店があれば是非ともやりたいのですが……」

 ギャラリーといった大スペースではなく、通常営業の小さなカフェでも作品を発表できるこの「切りグラ付箋」。その場所をもアートの舞台にしてしまうという点からも、実に魅力的であるし、何よりも新鮮だ。こんな小さなアートが、これから多くの人の目に留まっていく過程を、このブログを通じて見守っていきたい。

(岡部敬史)



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