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2007/04/19
人気ブログになるひとつの要因に「テーマの絞り込み」というのがある。 例えば,「お寿司」という大きなテーマにするよりも,「銀座のお寿司」とか「マグロ」などと,より絞っていったほうが訴求力は強くなるし人気も高まりやすい。ただ,言うまでもなくテーマを絞ったほうが更新し続けるのは難しくなる。「お寿司」というテーマより,「かっぱ巻き」などニッチなテーマのほうが情報を集めるのは難しいからだ。 このように絞り込んだテーマ設定と情報量の両面を兼ね備えるのは,なかなか難しいのだが,久しぶりにそんな要素を併せ持った素敵なブログに出会えた。 それが,今回ご紹介する『窓の図鑑』だ。明治,大正,昭和の建物の「窓」にテーマを絞ったブログである。 「大学在学中,建築史の研究室に所属していた関係で,近代建築の調査をする機会がありました。そのとき明治,大正,昭和戦前の建物に多く接するうちに『窓』に魅かれはじめました。ひとつとして同じ物がないので,新しいものを見るたびにわくわくしたものです。そのときから25年に渡って撮影した明治,大正,昭和戦前の建物の『窓』の写真のスライドやネガの整理をしようと思ったのが,このブログを始めたきっかけです」 こう語るのは,このブログの作者である太郎さん。 まだまだ「窓」の写真のストックがあり,いつかはこのブログを『窓の図鑑』として本にできれば――という太郎さんに,お気に入りの窓を紹介してもらった。 きれいに並んだ出入り口は圧巻です!^^穀物の出し入れに使ったのでしょうか!?荷車が横付けしたのかな?さぞかし賑やかだったでしょうね。 まず名前が挙がったのは,2006年10月23日のエントリーである「旧米穀取引所(食糧ビル)昭和2年」。 次いで,2006年10月7日の「大栄ビル(旧帝国製麻ビル)・大正3年・東京」を紹介してくださった。 たしかに2つとも実に味わい深い造形をしているのだが,太郎さんがこれらをピックアップしたのは,それだけが理由ではないようだ。 「これらは,すでに解体されたビルの窓なんです。今では見られなくなった窓の紹介をすると,喜んでいただけることも多いので,やはり愛着が湧きますね」 次々と新しいビルが建設されるなかで,その役目を終えて解体されるビルも数多い。そんなビルたちの窓を写した写真たちは,まさに文化遺産といっていいほどの価値があると思う。 「この時代の『窓』は,様々な形や色をしておりひとつとして同じものがないので,見ていて飽きることがありません。これからもそんな『窓』をコツコツと紹介していきたいと思います」 今まであまり注目することのなかった「窓」の美しさを教えてくれ,かつ毎日のように新しい情報を提供してくれるこのブログ。実にブログらしい見事なコンテンツだと思うのだ。 (岡部敬史)
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