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大人のブログ探訪

「缶詰blog」

2007/03/22

「缶詰blog」

 缶詰というのは,誰にでもひとつくらい思い出のある食べ物ではないだろうか。

 病気のときに母親がくれたモモ缶。キャンプのときに食べたコンビーフ。貧乏な学生時代に食べたサンマのかば焼き……。

 このように様々なシーンが思い出される缶詰だが,あまりに身近すぎて,日常生活では気にすることが少ないはず。でも,改めてじっくり見てみると,中身は多種多様だし,缶のデザインはきれいだし,意外と経済的で,しみじみ美味しい。

 そんな缶詰のよさを,改めて味わうことができるのが,今回ご紹介する『缶詰blog』だ。

 「独身の時期に,缶詰ばかり食べていたことがありました。米さえ炊いておけば,ほとんど調理をしなくてもよいのが気に入っていたのです。ただ,缶詰ばかり食べていることって普通じゃないなぁと思い始めて,記録をつけたら面白いだろうと始めたのが,このブログです」

 このようにブログを始めたきっかけを話すのは,『缶詰blog』管理人のハヤトさん。そんな彼が綴る缶詰に関するコンテンツは,実に幅広い。

 「果実関係」「汁」「缶詰考察」「肉関係」「菓子関係」「調味料」「野菜関係」「飯」「飯の友」「魚関係」……。これはこのブログのカテゴリーの一部なのだが,こういった文字列を見ているだけでも,このブログの奥深さが伝わってくるのではないだろうか。

 そんななか面白い連載が,「缶詰のある風景 」だ。

 “この皿一枚に米,豆,シチュー,魚の煮たの,何でもかんでもいっしょくたに入れ,そのなかで切ったりきざんだり,まぜこぜの猫飯にして食べるのだと教えられる。(中略)~猫飯はこの国全土の習慣なんだという。(中略)
「この船の料理は例外じゃないんです。類型にして典型です。これからさきずっとこんなもんですよ。覚悟して下さいな」”(開高健『オーパ!』 集英社文庫)

 これは開高健がブラジルに行ったときの様子だ。広大なアマゾン河を遡る船,「無敵艦隊のオオカミ号」に乗船して,食事の作法を教わっているところなのである。
 一枚の皿だけで食べるという風習は,東南アジアやインドのほうでもやっていたように思う。しかし取り分けた料理をみんな混ぜてしまうのはあまりないのではないかしらん。私には韓国しか思い浮かばない。  このお食事の再現にもっともふさわしい缶詰さんとして,ブログ仲間のdii-chaiさんがお土産で買ってきてくれた『沙仁魚』が堂々のエントリーを果たしたのである。パチパチパチ(拍手音)。

(05年10月28日「缶詰のある風景『オーパ!』より」

 このように小説やルポルタージュのワンシーンとして出てきた食の風景を,缶詰を使って再現してみたりして追体験してみようというわけなのだ。

 こういった遊び心溢れる試みは,違うシチュエーションでも行なわれている。

 こちらは知る人ぞ知る『ロックフィッシュ』というバーなのであります。
 銀座コリドー街の近くにお店を構えていて,東京の缶詰バーとして有名なのであります。
 缶詰バーと言っても,缶詰ばかりを出すわけではないんですけどね。
 こちらのオーナーバーテンダーである間口さんに,このあいだ一つのお願いをしておいたのだ。
 そのお願いとは...。

 過日,ご紹介させていただいたイタリアの牛肉缶を,読者諸賢は憶えておいでかしらん。
 こいつとは何度かお付き合いがあったのだが,どうもこの, “うまい” 食べ方が分からなかったんであります。
 そこで...。
 東西のあらゆる缶詰で酒の肴をこしらえてしまう間口さんに「うまいこと調理してやってください」とお願いしたのでした。
 何だか,出来の悪い子供を奉公に出した親のような心境であります。

07年3月6日「コラボレーション企画 缶詰さん,銀座でデビューする!」より)

 この後,缶詰のプロフェッショナルが実に美味しそうな肴を作るのだが,缶詰ひとつでこういった魅力的な交流をされている模様が実に楽しそう。

 こういった缶詰が持つ魅力というのは,年配の方のほうがわかるはず。ぜひこのブログを読んだ後には,缶詰を食卓に並べてみてはどうだろう。きっと忘れかけていた懐かしい気持ちがよみがえり愉快な気分に浸れるはずだ。

(岡部敬史)



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» 日食ロールドオーツ(オートミール) from 缶詰blog
 嗚呼、読者諸賢よ。  この格調高いパッケージデザインを、どうかご覧いただきた [続きを読む]

トラックバック送信日 2007/03/25 11:57:20


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