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大人のブログ探訪

おきなわ歴史散歩

2006/07/27

おきなわ歴史散歩

 昨今は,沖縄ブームということもあり,この地を訪れてその歴史に触れた人も多いことだろう。

 しかし,そんな沖縄好きにとっても,この『おきなわ歴史散歩』で紹介されている沖縄の風景は,とても新鮮で面白いものに映るだろう。というのは「歴史散歩」という比較的ポピュラーなテーマを選びながらも,そこで紹介している風景が,とても独創的なのである。

 「500年前の記録で『首里城の城壁は1枚の布のようだ』という証言があり,それは前から読んで知識の上では知っていたのですが,この場所に立った時,彼らの言いたかったことがわかりました。その瞬間,500年前の彼らの世界にタイムスリップした気持ちになりました。現場で実感することの大切さと,首里城のもう一つの魅力を感じることのできた撮影でした」

 これは,2005年10月3日の「首里古城」というエントリーに対するこのブログの作者「とらひこ」氏の言葉だ。実際にここで撮影された写真を見るとわかるのだが,いわゆる観光ガイドブックに載っている首里城のイメージとはまったくその風景は異なっている。

 正殿や門など,王の宮殿としての建物ばかりが注目される首里城ですが,ここは城塞としての首里城の姿を見ることができる場所です。

 エントリー内にあるこの言葉の通り,別の姿の首里城を見せてくれるのだ。こういった観点が,従来にはない歴史散歩を体感させてくれるのだが,ここにこそこのブログのこだわりがあるという。

 「最近は首里城をはじめとしたグスクが世界遺産になって独自の歴史と文化が注目されていますが,ガイドブックに紹介されていない魅力ある場所がまだまだたくさんあると思います。有名な史跡でも,ちょっと視点を変えれば『お決まりの風景』とは違った顔が見えてきます。そういう歴史の風景を写真で簡潔に紹介したいと思いブログを始めました」

 これは「とらひこ」氏がブログを始めたきっかけの言葉なのだが,まさにブログならではの発信だと感じる。

 ブログで旅行ガイドや歴史ガイドを綴っている人は多いが,ややもすると「見たことのあるもの」にしようとしがちな人が多い。

 それは安心するからだと思う。

 首里城も見たようなアングルで撮れば,まさにガイドブックのようなブログが作れる。パッと見は,プロっぽいものが作れるから,つい「見たことのあるもの」を求めてしまうのだろう。でも,それはちょっともったいないなぁとも思う。

 個人発信のブログにおいて,実は読者が求めているのは,この『おきなわ歴史散歩』のような独自の観点を持ったものだと思う。既存メディアでは味わえない独自性こそ,ブログで発信することの大いなる意味なのだ。

 「この遺跡はほんの60年前に作られた製糖工場の煙突ですが,ほとんど誰も訪れることもなくひっそりと立ち続けています。戦争の時の弾痕が残る遺跡の眼下には今も米軍基地が。傷付いた煙突と眼下に停泊する軍艦が対照的でとても印象深かったです」

 これは「サーターヤーのえんとつ」(2006年5月27日)に関する「とらひこ」氏のコメントである。

 こんな「えんとつ」の紹介も,まさに独創的であり,なかなか他では見られるものではない。相当な沖縄好きでも,この魅力的な建造物を見たことのある人は少ないのではないだろうか。

 4~5回,沖縄に行って「もうだいたい見たな」と思っている人(僕もそうでした)も多いだろうが,このブログを見ていくと,あともう4~5回は行きたくなるはずだ。

(岡部敬史)


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